2019年以降開催を見合わせておりました特別講演会を5年ぶりに開催することが出来ました。会員企業様より多くの動員頂き誠にありがとうございました。参加いただいた方々からも楽しくわかり易い講演であったと大変好評でした。
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日 時:
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2月16日(金)17:00〜18:30(開場16:30)
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会 場:
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長野ターミナル会館 4F芙蓉・寿
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講 演:
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演題:「2024年 今後の経済環境」
〜人口大国新興国の需要と新産業拡大の日本家の影響〜
講師:野村證券株式会社 投資情報部長 東 英憲 氏
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参加者:
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50名
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▲東 英憲 氏
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▲会場風景
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▲4C会遠藤会長
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▲開会の言葉 村山副会長
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▲参加者は50名
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▲司会 酒井副会長
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<講演要旨>
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野村證券の投資情報部とは何をしている部署なのか。当社には国内外の金利や為替・経済を分析しているエコノミストが40〜50名、会社訪問して企業分析をしているアナリストが40〜50人います。双方からの情報を収集し皆様にわかり易く伝えていくのが投資情報部の役割です。国内で商売していく上で、ぜひ知っておいてほしい情報をお話していきたいと思います。
エコノミストの立場からすると経済は金利の上げ下げで景気を操作できると考えています。景気の悪化が行き過ぎてデフレになると、その対策として中央銀行は金利の引き下げを行います。その結果、消費や設備投資に資金が回り易くなり再び景気が回復してきます。このように景気循環によるお金の需給バランスにより金利は昇降を繰り返します。物価が上昇すると必要なお金の量が増加するので一般的に金利は上昇し、物価が下落すると必要なお金の量が減少するので金利は低下します。物価の上昇率が高いと消費意欲が減退し経済活動が停滞し始めるのです。
日経平均が最高値を更新しているのに、なぜ景気が良くならないのか?海外に進出している日本企業が大幅に伸長しているからで、その国においての売上でありその国の賃金になり納税することになります。日本国内の景気が良くならないのはここに要因があります。GDP(国内総生産=1年間の国内の儲け)はアメリカ・中国・ドイツに次いで世界4位と下降傾向です。米国籍企業で世界に巨大な影響力を持つGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)を見ると成長率が低くても金利が高くても商圏の大きい新興国へ販売し利益を伸ばしています。NYダウ、S&P500、NASDAQも大幅増益予想です。80年後(2100年)の人口推移予想では2022年を100とした場合、アメリカ116、インド108、日本59、中国54と予測されています。先進国が減少予測の中、アメリカは増加予測です。特に若年層の人口構成が高く予想されています。これはアメリカが移民受入態勢が出来ておりアメリカンドリームを掴みに来る若者が多いからです。エンジェル投資家と呼ばれる起業して間もない企業に出資する投資家が多く、投資した出資金にはエンジェル税制というものが適用され所得控除が受けられる仕組みがアメリカでは出来ています。目先では所得税を取りこぼしても、後に大きくなった企業から法人税として税収を考えているのです。ユニコーン企業(設立10年以内、評価額10億ドル以上、未上場、テクノロジー関連)の55%は移民が起業したものです。アリババグループ創業者ジャック・マーやテスラーのイーロンマスクも移民です。
時代と共にアメリカを代表する30銘柄の平均株価(ニューヨークダウ工業株30種)では1990年は2590ドルだったのが現在15倍近くまで伸長しています。構成銘柄も変化しており1990年の構成30銘柄と現在の構成30銘柄では7割以上が入れ替わり、新陳代謝が盛んです。そこでインデックスファンドになる前の安価なアクティブファンドを勧めます。情報を駆使しながら先行投資を行い数十年後に期待をします。
今年はアメリカ大統領選挙があります。少し前までは「もしトラ」と呼ばれていましたが現在では「ほぼトラ」と呼ばれトランプ氏の当選が確実視されています。一部ではトランプ氏が大統領になったら大変な時代が来るのではないかと囁かれていますが、アメリカファーストのために大統領は尽力し、選挙がある年は結果として株式も景気も良くなる傾向にあります。トランプ氏は根っからの商売人ですからドル安政策を取る傾向がありますが、関税政策に舵を切る可能性もあります。関税をかけ輸入を減らそうとします。輸出をするとその国の通貨は強くなり、輸入ばかりするとその国の通貨は弱くなります。結果的にドル高が続くと予想されます。
今後、世界経済全体は拡大伸長していきます。先進国ではなくこれからは人口の多いグローバルサウス(新興国)の恩恵を受けていくようになります。特に近年のスマホの普及により新興国の需要が急増し、他国の情報をタイムリーに得ることが出来、衣食住にも大きな変化をもたらしています。一部の民族ではスマホを使って狩りをしているそうです。平均気温が50度を超えるインドではエアコンが爆発的に普及しています。しかしエネルギー資源は足りなくなることが必至で、ロシア・ウクライナ問題が解決してもエネルギー価格は大きく下がることはないと思います。
日本国内においてもインバウンド消費により変化が見えてきました。モノ消費からコト消費に代わり、国内価格も間違いなく高騰していきます。今まで日本国内ではより良いものをより安くというデフレマインドから外圧により、より良いものはより高くという時代がやってきています。台湾から熊本に半導体受託生産最大手「TSMC」が来て建設ラッシュです。建築業はもとより宿泊関連業や飲食業も人手不足です。日本政府も多額の補助金を出し誘致し、町中に年収2000万を超える台湾人が大勢やってきます。必然的に賃金も上がっていくでしょう。そうしたことにより内需拡大を期待しています。こうした産業が国内へ流入しており、この恩恵を投資で享受することを検討しても良いのではないでしょうか?アメリカ人の個人金融資産の55%が有価証券です。アメリカには日本のような国民保険制度がないので将来の保障は自分で計画的に考えて下さいねというのがアメリカの考え方です。低金利の時代ですが日本人はほとんどが現預金で保有しており、有価証券は18%程です。家計金融資産の見直しを図る良い機会であると思います。
(文責/塚田 博章)
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