信州蔵元遠藤酒造場六代目当主遠藤秀三郎氏に「日本酒への思い」という演題で業界の動向と経営戦略について話していただきました。
東京工業大学3年21才のときに父がなくなり、須坂にもどり六代目として蔵を継ぎました。県内110社中80番くらいで社員1名の会社でした。はじめの10年間は、免許制に守られた酒屋さんが威張っていた時代で、商品力がなければダメと痛感させられました。
日本酒業界は昭和48年が生産量のピークでそれから長い減少傾向が続いています。また20年前から、酒のディスカウント店の進出、等級制の廃止、販売免許制の緩和により自由競争の時代に入りました。ちょうど商品力の強化に思いがあり、営業なし、品質重視、ブランド確立を目指しました。若い杜氏を迎え、養老正宗という長く続いたブランドから「渓流」を主力ブランドにしました。品評会は国内、海外ともに積極的に参加しブランドの確立に努めています。
日本酒は昔から研究され、技術が確立されています。それでも数値を分析して次のプランを実行し、お客様の視点から新商品を開発しました。清酒ですから濾さなければいけませんが網で濾す「どむろく」、税金をタンクで測っていたものをビンで測るように変えた「朝しぼり」の新ブランドを確立しました。若者の清酒離れは、調べてみるとのまない理由がありません。そこで「蔵祭り」というイベントを毎年開催し、日本酒を飲むきっかけ作りに努めています。県内で2位の蔵元に成長できました。
「無借金」「社員を大切に」「地元を大切に」を常に考えながら背伸びをせずに、信州須坂の酒蔵として着実に成長していきたいと思います。
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