地域商業文化を創造する会 2月特別講演会

■とき/平成17年2月19日(土) PM5:00
■ところ/ホテルメトロポリタン長野
■演題地産地消・旬産旬消 農的循環社会への道
■講師/衆議院議員 篠原 孝 先生

 3日前にやっと京都議定書が発効しましたが、21世紀の世界にとって環境問題が最大の問題なのです。地球環境時代が到来しているのです。人口は70億人で地球が満杯になり、食料・エネルギー・水が不足するのは目前の事実なのです。このことを別の見方をすると現在の工的非循環社会がもうじき終焉を迎えると言うことも出来ます。無限にありただと思われていた空気や水もきれいな物は有限なことが実感として感じられるようになってきています。石炭や石油も少しずつ使えば環境にも問題はないのですが、現在のように使用すれば他の鉱物資源を含めて近々枯渇してしまい工的非循環社会は終わらざるをえません。また経済的に中国の脅威ということが言われていますが、低賃金を搾取しているだけと見ることも出来ます。かつて植民地として搾取していたものが、自由貿易の名のもとに価格差を利用して搾取しています。貿易も収支が均衡するように管理すべきです。

 「農的循環型社会への道」(創森社)にまとめて書きましたが、これからは農的循環社会に転換せざるをえません。真の生産とは何かを考えますと、究極は光合成です。太陽エネルギーにより無から有を生じさせています。使用するエネルギーもバイオマス、風力、太陽光を使わざるをえません。これはまた環境保全型農業の循環そのものでもあります。19世紀は化学の時代であり、20世紀は物理の時代でした。21世紀は生物学の時代になりますし、生物資源産業の時代にならざるをえません。

 私達が毎日食べる食の世界では反グローバリズム運動がおこってきました。1986年にイタリアで始まったスローフードは世界中に広まってきましたし、韓国では身土不二の考え方がウリミル運動となっています。1994年にはイギリスでフードマイレージが提唱されました。食と農の距離を縮めようという考え方ですが逆の意味で突出しているのが日本です。

 世界中から食料を輸入しており、二酸化炭素の排出の25%は輸送によるものです。日本は食料以外にも木材や製品の輸入が多く環境汚染をしています。日本の農地面積に対し2.5倍の農地で取れた農産物を輸入していますし、飲料水の輸入も多い国です。こんなことを長く続けられるはずがありません。

 もともと人間はその土地にあるものを食べてきました。同じ人間ではありますが長い間に酵素の働きが変化しています。気候や風土にあった食生活に適応してきたのです。寒い所に多い白人はアルコールに強いのですが、暑い所に多い黄色人種は弱い人が多くなりました。日本人には牛乳を消化できない人が多く、小魚を美味しいと感じますが、欧米人は逆になります。地産地消・旬産旬消にそった食生活はそこに住む人にあっていると言えます。

 地産地消には多くのメリットがあります。消費者は生産者の顔が見え安心できますし、生産者も食べる人とのつながりが励みになります。フードマイレージはゼロに近くなり環境に良く、地域自給率の向上や不耕作地の減少と農政にもメリットがあります。現実に農家の方による直売所は全国的にブームになっています。統計がありませんが売上が1兆円を越えるのではという話がありますし、食品スーパーの店頭でも地元の農産物で生産者の名前がわかるコーナーが増えてきました。

 学校給食を考えてみますと地産地消とは逆のことをやってきました。戦後長い間、輸入したパンと脱脂粉乳の給食が基本でした。米飯給食の実施はかなり遅れましたし、いまだに週3回です。地場産物や有機農産物を使った給食の普及も考えますと給食費の見直しや農政の知識ももった栄養教諭の設置が今後の課題になります。

 食品産業、流通業、外食産業そして農協も変わらざるを得ないと思います。消費者が生産地や原料産地の表示を求めています。和歌山の南高梅は地元の梅を使うようになりましたし、今まで生産量が多いにもかかわらず、製品としてなかった鹿児島茶が出てきました。

 黒豚など基準を設けながら地域ブランドを育てあげる動きや、有機・国産を売り物にする飲食店が出現してきました。逆に国産虚偽表示をした大企業が倒産する事件が起きるなど、社会的制裁の恐ろしさがわかります。世の中に地産地消の流れがあることと、業界の慣習ではなく消費者に正直な経営が求められています。

 本日は商業者の方が多いので商業にかかわる話をさせていただきます。儲かりさえすれば、誰がどこで作ったものでもいいという発想や、自分が得をすれば他はどうでもいいという発想では長続きしないと思います。不当廉売も禁止する必要があります。ベニスの商人と同じであくどい儲けはしないで、生産者と消費者双方のためになるというてんに商業の存在意義があると思います。商店街も復活させる必要があります。フランスなど大店法の規制がきびしいですが、楽しい市場が残っています。高齢化社会にあわせて会話を楽しむ場をつくる必要があります。老人ホームを街の中心につくり子供達が来やすい街づくりをしなければいけません。

 日本の産業規模は縮小しますが、地産地消・旬産旬消で 余計なものは作らず、買わず、使わず、地球に優しく生きることが必要な時代になりました。


地域商業文化を創造する会3月例会のご案内

日 時:

平成17年3月25日(金) 午後6時30分

例会場:

ホテルサンルート長野 TEL026−228−2222

会食処:

加茂川        TEL026−223−2331

議 亊:

1.会長挨拶  倉島 圭三

2.(1)今期のまとめについて
  (2)来期の計画について
  (3)その他
3.情報交換会   午後8時より

司会進行/例会委員長  渡辺 誠

お願い:

※集合時間は厳守にてお願い致します。
※当日の出席の取消はご容赦下さい。

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