地域商業文化を創造する会 2月講演会議事録

日 時:

平成28年2月26日(金) 午後5時開演

会 場:

長野第一ホテル

講演:

演題 「ニッチを極めて、その先に成長がある」
    自社の経常利益を現状より2%アップさせる方法
講師  株式会社たちばな 代表取締役会長 松本 秀幸 氏

<講演要旨>

 日本にある会社のすべて、全企業の70%以上が赤字企業だということです。ほんとうだろうかと思い商店街をそういう目で見て歩いたことがありました。その理由を考えると一番の原因は顧客の変化や企業を取り巻く変化にあり、変化に対応できないからだと思います。これは昔から繰り返されたことでいつの世も同じです。顧客や環境の変化に自社が対応できているか考えること、考え続けることが大切です。本日の演題の「ニッチ」とは需要が少なくなること、少なくなる業種のことです。呉服業界もまさにニッチな業界です。「極める」とは新商品や新サービス、商品の見せ方の工夫を考えてみること、いろいろ勉強して常に考え続けることだと思います。
 呉服というのは日本の伝統文化であり、女性があこがれる素晴らしい商品で、親子3代にわたってお付き合いしていただけます。結婚式に招かれる社員も数多くおります。日本女性の90%はきものを着る機会があれば着てみたいと思っていますし、レンタルでもきものを着た自分の姿を鏡に映すと満足されます。ただ呉服業界のマーケットサイズは毎年減少し続けていて今は年3000億円の市場規模です。この厳しい時代の中で生き残るためになにをすべきかを考えなければいけません。ひとつ目は9800円のきものレンタルを始めました。今は全店に導入し、ネットでも対応しています。着付けされる美容院の方が安さにびっくりするという商品ですので儲かりませんが大変ヒットしました。レンタルでは儲けなくとも着てみれば欲しくなる人もいますので、レンタルした10人のうち2人か3人の方に買っていただければ、呉服販売が本業ですので儲けを出すことができます。レンタル体験を使ってきものを着たいというウォンツをきものが欲しいというニーズに変えています。ふたつ目に呉服店に写真スタジオを併設しています。今マタニティ写真が流行っています。マタニティ写真を撮った方にお子さんの七五三の着物購入やレンタル、記念写真でご利用いただき、将来の成人式、結婚式でのご利用につなげていけるようにしました。これもスタジオの持つ機能を活かしてきものを買いたいというニーズにつなげるものです。
 継続して成長する会社になるためには自社の理念・ビジョンが正しい、顧客の役に立つものであることが必要な要件になりますし、それを社員が実践する体制が作れているか、社員の行動に結びついているかが重要です。当社の例をお話ししますと経営理念の中に「家族の幸せづくりを応援します」とありますが、これを具体的に七五三の写真取りの中で実現しています。当社の写真スタジオではご両親のきものレンタル代と着付けを無料でして差し上げお子様と一緒の写真を撮っていただくサービスを行っています。するとご両親は感動されこころから「ありがとう」と言っていただけます。これにより社員は経営理念の具体的な実践を実感することが出来ています。
 次にこの経営理念を実現するための方針や目標が明確でなければなりません。単年度の経営計画や中期計画に具体的に織り込まれ、力強く進めていかなくてはなりません。当社の例では売上目標や利益目標はもちろん、着付け教室の生徒数やきものを楽しむ会の参加者の目標をつくり社員に達成のための努力をしてもらっています。着付け教室の生徒数は実際に参加された方の人数を月毎に集計しています。きものを楽しむ会は各店ごとに月2回企画実行してもらい初回参加者と参加者総数を集計しています。これをグラフ化し店長会議等で目標達成の状況や成功事例を話し合っています。
 売上高や利益額の増加の一番の基本は客数増だと考えています。小売業やサービス業では固定客は一年に3割減少すると言われています。継続して成長するためには客数増の方針や目標を明示し、実行してもらい、管理していかなければなりません。きものレンタルや写真スタジオ、着付け教室やきものを楽しむ会はもちろん、そのほかにもお礼状の枚数やたちばな積立カードの申込者数にも具体的な目標をつくり達成に向け日々努力してもらっています。当社で3万円以上利用していただいた客数を店別に集計し、店長会議等で確認をしています。高額商品が売れることにより売上目標や利益目標が達成されていても過去1年間の移動平均の客数が減少していると大問題だと思います。そのような場合は客数増の施策をしっかりやってもらうようにしています。
 呉服業界では社員を育てるのに3年かかると言われており私もそう思っていました、ところがショッピングセンターに出店しその部門の部長を外部から招いたら徹底した教育をすることにより1年で育ててしまうのです。今は私も1年で育つと思いますし、その方が本人のためですし、会社も儲かります。徹底した教育をこなすには天職発想が重要だと思います。新入社員に必ず天職発想の話をし、仕事を覚えるのも早くなり、良い仕事が出来ると話します。社長に言われて社員が増えても伝えられるように本にまとめました。
 鬼無里で父親の洋品店に入って12年間経営し、長野市で呉服店を初めて38年目になります。長野に進出してからの20年弱は良い時も大変な時もあり経営が安定しませんでしたが、日本創造教育研究所(日創研)に出会い勉強を始めてから会社が良くなりました。企業の成長には経営者のレベルアップが重要だと思います。また日創研の機関紙「理念と経営」を使って社内勉強会を10年間続けていますが、社員の考え方がレベルアップするのを実感しています。セミナーに参加してもらうのも良い方法なのですが、しばらくすると元に戻ってしまいます。やはり研修はトップ、幹部そして店長までが一緒に受け、全社挙げて取り組むのが一番良いと思います。これにより自社の経常利益率を2%アップすることが出来ると確信しています。
 理念と経営の勉強会を長野の会社30社ほどが集まって月1回開催しています。この例会もたいへん経営の勉強・参考になるため10年続いています。オブザーブ参加も出来ますので一度参加してみて下さい。

(文責/関 隆之)


地域商業文化を創造する会 3月例会のご案内

日  時:

平成28年3月25日(金) 午後6時30分

例会会場:

東屋 TEL026−266−0160

会 食 処:

東屋 TEL026−266−0160

議 亊:

1.会長挨拶   関 幸博
2.議題(1)27年度のまとめ
    (2)28年度の計画について
    (3)その他
3.ゲストスピーチ
    八十二銀行 須坂支店 副支店長 清水 寛子 氏
    「女性が活躍しやすい職場づくり」  
    担当 遠藤社長
4.情報交換会  会議終了後より
◇司会進行/ 例会委員長  松本 亮治

お 願 い :

4月の総会は4月22日金曜日を予定しています。
通常より1週間早い金曜日になりますのでご注意下さい。

HOME1月議事録
  

過去の議事録はこちらでご覧になれます

平成13年4月の総会
平成13年5月の例会
平成13年6月の例会
平成13年7月の例会
平成13年8月の例会
平成13年9月の例会
平成13年10月の例会
平成13年11月の例会
平成13年12月の忘年会
平成14年1月の新年会
平成14年2月の特別講演会
平成14年3月の例会
平成14年4月の総会
平成14年5月の例会
平成14年6月の例会
平成14年7月の例会
平成14年8月の例会
平成14年9月の例会
平成14年10月の例会
平成14年11月の例会
平成14年12月の忘年会
平成15年1月の新年会
平成15年2月の特別講演会
平成15年3月の例会
平成15年4月の総会
平成15年5月の例会
平成15年6月の例会
平成15年7月の例会
平成15年8月の例会
平成15年9月の例会
平成15年10月の例会
平成15年11月の例会
平成15年12月の忘年会
平成16年1月の新年会
平成16年2月の特別講演会
平成16年3月の例会
平成16年4月の総会
平成16年5月の例会
平成16年6月の例会
平成16年7月の例会
平成16年8月の例会
平成16年9月の例会
平成16年10月の例会
平成16年11月の例会
平成16年12月の忘年会
平成17年1月の新年会
平成17年2月の特別講演会
平成17年3月の例会
平成17年4月の総会
平成17年5月の例会
平成17年7月の例会
平成17年8月の例会
平成17年9月の例会
平成17年10月の例会
平成17年12月の忘年会
平成18年1月の新年会
平成18年2月の特別講演会
平成18年3月の例会
平成18年4月の総会
平成18年5月の例会
平成18年6月の例会
平成18年7月の例会
平成18年8月の例会
平成18年10月の例会
平成18年11月の例会
平成18年12月の忘年会
平成19年1月の新年会
平成19年2月の特別講演会
平成19年3月の例会
平成19年4月の総会
平成19年5月の例会
平成19年6月の例会
平成19年7月の例会
平成19年8月の例会
平成19年9月の例会
平成19年10月の例会
平成19年11月の例会
平成19年12月の例会
平成20年1月の例会
平成20年2月の例会
平成20年3月の例会
平成20年4月の例会
平成20年5月の例会
平成20年6月の例会
平成20年7月の例会
平成20年8月の例会
平成20年9月の例会
平成20年10月の例会
平成20年11月の例会
平成20年12月の例会
平成21年1月の例会
平成21年2月の例会
平成21年3月の例会
平成21年4月の例会
平成21年5月の例会
平成21年6月の例会
平成21年7月の例会
平成21年8月の例会
平成21年9月の例会
平成21年10月の例会
平成21年11月の例会
平成21年12月の例会
平成22年1月の例会
平成22年2月の例会
平成22年3月の例会
平成22年4月の例会
平成22年5月の例会
平成22年6月の例会
平成22年7月の例会
平成22年8月の例会
平成22年9月の例会
平成22年10月の例会
平成22年11月の例会
平成22年12月の例会
平成23年1月の例会
平成23年2月の例会
平成23年3月の例会
平成23年4月の例会
平成23年5月の例会
平成23年6月の例会
平成23年7月の例会
平成23年8月の例会
平成23年9月の例会
平成23年10月の例会
平成23年11月の例会
平成23年12月の例会
平成24年1月の例会
平成24年2月の講演会
平成24年3月の例会
平成24年4月の例会
平成24年5月の例会
平成24年6月の例会
平成24年7月の例会
平成24年8月の例会
平成24年9月の例会
平成24年10月の例会
平成24年11月の例会
平成24年12月の例会
平成25年1月の例会
平成25年2月の講演会
平成25年3月の例会
平成25年4月の例会
平成25年5月の例会
平成25年6月の例会
平成25年7月の例会
平成25年8月の例会
平成25年9月の例会
平成25年10月の例会
平成25年11月の例会
平成25年12月の例会
平成26年1月の例会
平成26年2月の講演会
平成26年3の例会
平成26年4の例会
平成26年5の例会
平成26年6の例会
平成26年7の例会
平成26年8の例会
平成26年9月の例会
平成26年10月の例会
平成26年11月の例会
平成26年12月の例会
平成27年1の例会
平成27年2月の講演会
平成27年3月の例会
平成27年4月の例会
平成27年5月の例会
平成27年6月の例会
平成27年7月の例会
平成27年8月の例会
平成27年9月の例会
平成27年10月の例会
平成27年11月の例会
平成27年12月の例会
平成28年1月の例会
平成28年2月の例会
平成28年3月の例会
平成28年4月の例会
平成28年5月の例会
平成28年6月の例会
平成28年7月の例会
平成28年8月の例会
平成28年9月の例会
平成28年10月の例会
平成28年11月の例会
平成28年12月の例会
平成29年1月の例会
平成29年2月の例会
平成29年3月の例会