地域商業文化を創造する会 2月特別講演会議事録

日 時:

平成25年2月22日 午後5時開演

会 場:

長野ホテル犀北館

講演:

演題「俳優から仏像彫刻家へ」
講師 俳優・仏像彫刻 滝田 栄 氏

<講演要旨>

 先日 知人と話をしていて、人間には2種類いるという話題になりました。経営者型と感性型でまったくタイプが違います。数値やマネジメントが得意なのが経営者型で芸術やアートが好きなのが感性型で考え方もまったく違いますが、それぞれのトップ同士だと不思議なことに話が合います。私は感性型です。
 その私がなぜ俳優になったのか考えますと小学生の時の出来事にあると思います。母が病弱でPTA参観を欠席したことがありました。そのとき庭に咲いている大きな白いアマリリスを切って持たせてくれました。先生や友達がアマリリスを見て、すごい、きれいと感動してくれ、それを見て自分もうれしく感じました。他人に喜んでもらえる、感動してもらえることの喜びが俳優につながったと思います。
 大学に入って19才の時に文学座養成所に入りました。演出家の戌井市郎さんに10年間は表に出るな、舞台で勉強しろ、よく人間を見て大きな厚い俳優になれと言われました。演劇へ入るのは狭き門ですが、収入にはつながらず生活は大変です。先輩のラーメン店でアルバイトをしましたが私のほかに風間杜夫と大竹まことの豪華キャストで働きました。10年間の勉強時代に大きく影響を受けたことがふたつありました。ひとつ目は三國連太郎さんが家城監督の映画「異母兄弟」の老人役でワンシーンを演じるために歯を全部抜いたことです。もうひとつが六世野村万蔵さんが狂言の舞台で観客の心からの拍手をもらうために猛練習し、舞台の袖に短刀を置き、心からの拍手がもらえなければ腹を切るつもりで演じた話です。
 下積みの10年後、通行人をやっているところへ声がかかり「なっちゃんの写真館」で名前が売れました。当時は大河ドラマに出ることが夢でしたが「草燃える」に出演でき、3本目の「徳川家康」で主演することが決まった時は、天下を取ったようにうれしかったです。
 ところが資料や台本が送られてきて目を通すと徳川家康という人物が共鳴できず理解できませんでした。信長や秀吉は解りやすいのですが、家康は解らず、演じられそうもなく、どうしたらいいかわからず、追い詰められてしまいました。そこで家康が今川義元の人質時代を過ごした臨済寺を訪ねてみました。臨済寺は今も僧侶が修行しているお寺で一歩中に入ると空気が違っていました。座禅をし掃除をして生活していても、本を読んで勉強しても家康は解りませんでした。
 臨済寺に倉内松堂老師という方がおられてお茶に呼んでくださいました。たくさん緑茶を入れて一杯目を甘く、二杯目を渋く、三杯目は苦いお茶を下さり、甘渋苦の3つがそろって人生なのだと教えてくださいました。さらにお釈迦様の涅槃図見せて下さり、命あるものすべてが涙を流しているのは、本当の安心を教えたからだと教えてくださいました。
 家康は戦国の汚れた世を終わりにし、皆が安心して暮らせる世を作ることを目指したただひとりの武将でした。正室築山殿の密通や長男信康を信長の命令で切腹させるなど渋苦の方が多かったと思います。家康は「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくがごとし」と残しています。
 ヴィクトル・ユーゴーのレ・ミゼラブルは世界で一番読まれている小説です。これをイギリスのキャメロン・マッキントッシュがミュージカルにして大成功し、日本でも公演することになり、主役のジャン・バルジャンを演じることができました。パン1本を盗んだことから19年間の監獄生活を送った男が教会の司教との出会いにより改心し、成功して市長を務めたりし、最後に「良く生きた」と司教にもらった燭台を抱きながら死んでいきます。ほんとうの愛の物語で映画にもなっていますが映画も涙なしには見られません。14年間演じて筋肉が切れたり、ぎっくり腰になるなど体がぼろぼろになり交代しました。
 徳川家康とジャン・バルジャンを演じた後は納得できる仕事だけをしています。2年間インドに滞在し、お釈迦様が修行したジャングルにも行ってきました。修行で疲れた時の乳粥は本当においしかったです。
 日本で良い師を探したところ、長野の大本山活禅寺に徹禅無形大師という素晴らしい方が見つかりました。長野へ通って教えを受けました。今は活禅寺で月に一度スジャータの会という座禅の会を開いています。6時から1時間座禅をして30分講話をして乳粥を食べていただく会を行っています。参加費は無料で過去82回開催しました。明後日が今月の例会日ですのでよろしかったら参加下さい。

(文責/関 隆之)


▲滝田栄氏の推薦者 竹村猛志氏による
講演者紹介          
▲講演会終了時、謝辞を述べる
久世良三会長      


地域商業文化を創造する会 3月例会のご案内

日  時:

平成25年3月29日(金) 午後6時30分

例会会場:

にしき茶屋 TEL026−226−6251

会 食 処:

にしき茶屋 TEL026−226−6251

議 亊:

1.会長挨拶   久世 良三
2.議題
(1)24年度のまとめ
(2)25年度の計画について
(3)その他
3.情報交換会  会議終了後より

◇ 司会進行/ 例会委員長  霜田 清

連絡事項:

1.

スピーチがありませんので、会食会場で例会を行います。にしき茶屋は中央通り かるかや山前交差点を東へ向かって右側(南側)2軒目になります。

お 願 い :

※集合時間は厳守にてお願い致します。
※当日の出席の取り消しはご容赦下さい。

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