財団法人長野経済研究所の小出貞之理事長に「激変する世界経済と長野県経済」という演題でお話いただきました。
2008年のリーマンショックは世界経済に大きな影響を与えました。日本は直接の被害はなかったのですが、県内製造業は2〜3割減少になりました。
リーマンショックから2年かけて回復してきたところに3月の東日本大震災が発生しました。ICチップ等の部品が生産できなくなり、メーカーのサプライチェーンが崩壊し、被害がなかった長野県内の製造業でも発注が止まる事態が発生しました。現在2割減くらいまで回復したところです。
そこへ今またタイで大規模な50年に一度と言われる大水害が発生しています。タイの工場団地があるところは川がゆっくり流れる平らな低地でしばらく水が引かないと思われます。ここもICチップの生産拠点であり世界の4割を生産しています。自動車も完成車を多くつくり、部品の生産量も多いので、世界中へ直接響いていくと思います。タイへは長野県から125社が進出しており、アユタヤに工場のある5社は1〜1.5メートルの水に浸かっています。工作機械はダメになり、保険に入っているので再開出来ますが、工場が同じ場所で良いのかは問題になります。
ギリシャ問題はポルトガル、アイルランド、イタリア、スペインを含めた5カ国の国債が債務不履行になる心配が高まっている問題です。欧米の消費が振るわず、モノを買ってくれない状況がすでに発生しています。5カ国の国債をヨーロッパ域内で抱えあう構造ですし、同じように欧州大手銀行も大量に抱え込んで、資本増強が必要になっています。世界中の資金も安全な円に流れ込み、理由なき円高が極端に進み、国内景気に悪影響が出る懸念が大きくなっています。
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