中田林業の中田明さんから「北山杉について」という演題でお話ししていただきました。初めに「美の京都遺産」という番組のDVDを見せていただきました。
北山杉は木の上の方だけに葉を残して育て、細く長い丸太に育てます。30〜35年で直径12〜15cmに育て床柱などの内装材として丸太そのままを利用します。大きくしない、太くしないように育てますので密度が高く、年輪が小さく、強度が他の杉の1.8倍もある丈夫な木材になります。材質が緻密になるばかりでなく、木肌が滑らかで光沢が出るのも床柱に向いています。他の産地の杉は100〜200年かけて太く大きく育てて、製材して柱や板として利用しますので、北山杉は特殊な育て方・利用方法をしています。若い時に植えた杉を自分の代に自分の手で伐採することができるのも林業としては特殊な、大きな特徴になります。
木肌にこぶ状・波上の凹凸が絞りとして自然にできる北山天然出絞丸太も大きな特徴です。床柱として珍重され、祖父が見つけた出絞が自然に出る枝変わりの杉を挿し木で増やして育てています。種を撒いて育てると両親の遺伝子が混じるため出絞が消えてしまうので、挿し木でクローンとして増やしています。
大学卒業から始めの20年間は山で良い北山杉を育てることに注力してきました。景気も良く、床柱を中心に良く売れました。景気が悪くなり、洋間が増え、売れにくくなったとき、東京の工務店の集まりで講演したところ、参加者全員が北山杉を知らないことにショックを受けました。それからの20年間は床柱以外の利用に注力してきました。強度や材質を生かした温かみを出すいろいろな利用方法が広がっています。
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