地域商業文化を創造する会 新潟・群馬の研修旅行のご報告

■日程

■今回の4C会研修旅行はコロナの影響で研修先はもちろん実際に催行出来るのかも、ギリギリまで判断できず参加者の皆様にはご心配をおかけいたしました。例年2泊3日で計画している研修旅行ですが、本年は1泊2日に縮小することとなり、当初予定していた行程とは処々変更せざるを得ないところもありましたが、各企業の取組みで吸収できる点も多く有意義な研修旅行となりました。

■ 諏訪田製作所さま

 モダンなエントランスを抜けると白いキャデラックのオープンカーが目に飛び込んでくる。三条市名誉市民であるジャイアント馬場さんがハワイで愛用していた実物が展示されています。ショップやカフェ・レストラン・ジムも併設され、スタッフは昼食や休憩の際無料で利用できるそうです。
「開かれた工場」として、行程を全面的に公開されていました。製造工程を公開できるということは、「信頼性」が高まることがあると思いますが、それだけではなく、職人さんの「やりがい」にもつながると感じました。そして、諏訪田製作所様さまは、単に公開しているだけではなくデザインによる「カッコよさ」を伝えているところが素晴らしいと感じました。
建物や制服、展示物など、黒を基調に統一されオシャレでカッコイイ。それは、製品の良質さと関係があるのか・・・。間違いなく“ある”と感じました。

 製品の良質さを保つには、職人さんがいなくてはならないし、若い人がいなくては伝承されません。小学生が社会見学にきて、そのときに憧れを抱き、入社してくれる方が最近増えてきていると、担当者の方が嬉しそうに話してくれました。
 また、ニッパー型の爪切りを製造しているのですが、その機能性の高さだけではなく、「カッコイイ製品」に仕上がっています。その完成された製品だけどオシャレにするのではなく、製造工程や机やカゴや、備品一つに至るまで徹底したカッコよさを統一されたテイストで表現されていました。商品が並べられている販売スペースにはジャズがながれており、みなさんが買物をしていきます。およそ「爪切り売り場」には見えませんでした。製品を造る際どうしても出てしまう廃材を社内のオブジェや照明器具などに再利用したものを各所で目にすることが出来ます。
 「カッコよさ」を徹底することが、良質な製品をお客様に伝える役割や、素晴らしい社員さんが入社してくれる役割も果たし、結果、素晴らしい技術を伝承していくことに大きく寄与していると考えると、「デザイン」の力をあなどってはいけないと感じさせられました。
工場内を案内していただいた方の接客のうまさにつられながら普段手にすることのない切れ味の良い爪切りを手に入れました。ご紹介くださった宮川社長ありがとうございました。

■Bitさま

 新潟三条の産業センターの一角にあるイタリアンレストラン“Bit”・・・・。
遠藤会長のご紹介で5Dルームにご案内いただき、素晴らしい映像演出とお料理を堪能させていただきました。遠藤会長が、スタッフのみなさまと家族のように親しくていらしたので、その雰囲気の中でビットさまのお料理とスタッフの方々の魅力を存分に感じることができました。ありがとうございます。
 一品一品がとても美味しいお料理でした。器や箸、カトラリーなどにも拘り、ものづくりの街として長い歴史のある燕三条の地場製品を使用されています。「マルナオ」の“八角箸”、「山崎金属工業」のノーベル賞晩餐会でも使用される“カトラリー”、「藤次郎」の“ステーキナイフ”などお料理と共に最高級の食器でもてなしていただきました。料理の美味しさはもちろん、その美味しさを際立たせている大きな要素は、スタッフのみなさまのご対応だと感じました。オーナーシェフの秋山社長はご不在でしたが、社員のみなさまが社長のビジョンを原動力にがんばっていらっしゃることが、ひしひしと伝わってきました。今後、東京都内の超高層ビルへの出店要請や、北海道など全国各地からのお誘いも複数あるということです。そして、数年後にはニューヨーク出店を目指し新たなビジョンを掲げられています。
 創業時のメンバーから、スタッフが増えていく中、どのように想いを共有したまま拡大できるのか、クレドなどもコロナ中に作成して、みなで暗黙の共通認識を、言葉にして意思の疎通をはかることも取り組まれていました。
 飲食業界という、決して楽ではない職場環境のなかですが、みなさんが夢を原動力に、誇りとやりがいと自信を胸に抱きながら仕事をする姿を見て、みんな応援したくなるのだろうと感じ、応援される会社づくりを肌身で感じさせていただきました。
 素敵な時間と美味しい食事、成長し続ける素晴らしいお店を紹介いただいた遠藤会長に感謝いたします。

■錦鯉発祥の地“錦鯉の里”

 錦鯉は江戸時代に食用として飼われていた鯉が突然変異で色のついた“変わり鯉”が現れたことが始まりで、その後改良を続け美しい錦鯉へ変貌を遂げ、今なお改良し続けています。鯉はおかれた環境で大きくなるそうで小さな水槽の中ではある程度までしか大きくならないそうです。人間と一緒で広い良い環境で育てるとそれに合わせて大きくなるそうです。どこか人間と似ていますね。
 館内は錦鯉の歴史や品種などが細かく説明され、稚魚や珍しい品種の鯉が紹介されています。屋外には立派な日本庭園と池で泳ぐ錦鯉を見ることが出来、しばし時間を忘れさせてくれます。
錦鯉は観賞用の鯉ですが大きさや柄によって価格もピンキリです。以前、2億300万で落札された鯉もあったそうです。ガイドさんのご案内中に次々と質問が飛び交い、ガイドさんがタジタジするほどに盛り上がりました(笑)。鯉の寿命は15年程で、一匹として同じ柄の錦鯉は存在しないそうです。環境によっては歳を取ると色が飛んでしまう事もあるようです。
 錦鯉は地域の中で長年にわたり育まれた趣味娯楽の世界ですが、その地域で人気が出て次第に世界中から注目されるようになりました。
まさに、この「鯉」は山古志という地域で創造された文化で、それが、商業として発展していくようになり、今は、世界からも価値あるものとして評価されている現実は、4C会の私たちが学ぶものが多かったと感じました。

■ryugon−龍言−

 六日町の商店街を抜けて魚野川を渡り国道291号沿い、一瞬こんな場所にホテルがあるのかと思わせるところでバスが停まる。門をくぐると懐かしい匂いが残りつつモダンにリノベーションされた異空間が現れました。
 地元六日町の豪農の館や武家屋敷を移築して一昨年リニューアルした「ryugon」。大きな期待と共に新たなスタートを切ったものの世界的なパンデミックに襲われた。そんな中でもお客様が必ず戻ってきていただける時に備えて営業を続けてこられたそうです。今回、平日にお世話になったにも関わらずほぼ満室の状況で、過去には将棋の竜王戦の会場にも設定されたことのあるラグジュアリーな旅館です。
 屋内はスタイリッシュで、洗練された和の佇まいが広がっていました。食事は地元の恵みを ふんだんに盛り込み、伝統料理をベースにしたごちそうでした。いわゆる豪華な旅館料理とは異なり、地のものの滋味深い味わいを、和のフルコースで堪能させていただきました。懐かしさの残る料理の数々は厳選された食材で構成され、なんといっても窯で炊かれた魚沼産コシヒカリの一級米はそれだけで一品料理でした。ご飯の旨味・甘みを十分満喫できました。料理に合わせていただいた日本酒もとても美味しく、料理を一層際立たせてくれました。“ごちそう”とは何か?決して豪華さだけではなく、演出や音響、照明、おもてなしとの融合によって料理が一層際立つものなのだと、実感できました。
 部屋からは大庭園を見渡す景色と、無垢の木を活かした設えが美しく融合し、とても贅沢で快適でした。各部屋に備え付けのパノラマビューの露天風呂は疲れを癒してくれました。館内の間接照明や空間演出には目を見張るものが多く、各所で新潟の伝統産業が作り出すアイテムがふんだんに取り込まれています。
 四季を通して雪国文化が体験できるプログラムも用意され、里山の自然の静けさに浸れる宿で時間を忘れて過ごせる素敵な宿でした。

■グリンリーフ

 谷川岳や武尊山、尾瀬ヶ原がある中山間地帯の南端、赤城山の裾野 昭和村に今回の視察地農業生産法人グリンリーフ株式会社様があります。
 先ず、各施設を代表の澤浦彰治様に農場や発電所、加工工場、社員宿舎をご案内頂いた後に本社様会議室にてお話を伺う形で研修させていただきました。モスバーガーの契約農場になっており年間を通して北関東のモスバーガーへトマトをはじめ数種類の野菜を安定供給されています。

「感動農業〜人づくり・土づくり〜」を経営理念として農業から多岐にわたり事業展開されています。

・農業生産 ・食品加工 ・売電 ・野菜販売 ・機械開発 ・システム開発 ・人材派遣
・外国人支援 ・託児所 ・コンサルタント ・就農支援

 昭和38年にお父さんが農業をはじめられ、昭和59年に就農されました。その後法人化しこんにゃくの植え付け機を開発したり加工場を設立し徐々に事業拡大されます。レタスに関しては国内生産者で年間を通して安定供給出来るのはグリンリーフ様だけだそうです。創業後、特に苦労した時期は東北大震災の時で、有機栽培・無添加に拘って生産してきたが群馬の野菜から放射能が検出されたという風評被害で出荷が激減したそうです。日本人はとかく感情で物事を判断するがこの時期助けられたのはヨーロッパへの輸出だったそうです。検査をして証明されれば全く問題なく取引いただけたそうです。また、エネルギーの安定供給も震災を機にスタートさせました。平成24年にビオエナジー(株)を設立し売電をスタートさせました。その後発電場所を増やし現在では昭和町と渋川市の約30ヘクタール(東京ドーム6.5個分)の土地で7,500キロワットの発電を行い、今では屋台骨のひとつとなっているそうです。
 このように、澤浦社長は何度も振りかかるピンチを、常に乗り越えてきており、その都度、ピンチのときに、新たなビジネスの機会を得てきていることを強く感じられました。ピンチはチャンスとは言いますが、ピンチはピンチです。しかし、その時に、必ずここにはチャンスが潜在していると信じて、このコロナ渦や、これからも訪れるであろうピンチに対して、前向きに立ち向かえる勇気をいただけました。

 さて、澤浦社長が、会社を大きくしていく中で特に苦労した問題は、なかなか人材が定着しないという事でした。人材に関してもさまざまな困難があり、そのときに成長の機会をうみだし起こる問題に正面から立ち向かい、乗り越え成長・発展を遂げてきたそうです。社員とのぶつかりあいでも曲げない信念を持つことの大切さを学びました。その後社内の雰囲気も改善され、並行して社内評価制度や賃金制度の作成を行い成果の可視化を推進した。重量、時間、品物がクラウドに集約されどのくらいの生産性なのかタイムリーに分かるようにし、能力評価へつなげている。就業規則を社員に作成してもらい新鮮な意見を経営に取り入れ、社員アンケートを積極的に実施し新たな発見も見出されているそうです。働き方改革にも取り組み、有給や育休など賃金制度とクロスさせながら社員の士気を高め生産性も改善されているとのこと。会社に定年制はなく「自力で出社できなくなるまで」が就業規則にあるそうです。作業場では年配の方が元気に作業されている姿とても印象的でした。外国人の人材育成にも取り組み、現在タイとベトナムから外国人技能実習制度を利用して外国人の受入れを行ないインターンシップも積極的に取り込んでいました。外国籍の社員に安価で社宅提供してり、従業員の児童を保育するための事業所内保育施設を導入し、働きやすい環境づくりに取り組んでいる。現在では12名の児童が通い、6名の従業員で運営している。
 会社として理念や思いをしっかり伝えることの大切さについてお話しいただいた。価値観の合わない行動をとる社員にその行動を改めるか辞めるかはっきりさせ膿を出すことの必要性があるという事でした。他の一生懸命働いている人の気持ちを削ぐ結果につながるのでこれは社長の役目であると考えていらっしゃるそうです。
 現在では経常利益率9%、人時生産額3,763円、パート平均時給1,065円、総合職平均年収450万円、離職率6%と5年前に比べ大きく改善されているそうです。
 講演後には質疑応答の時間を頂き多くの質問が出ました。
1)経営理念の作り方は?(宮川社長)
自分の商売の使命・目的から設定しビジョンを伝えていくことです。
2)業務によって5段階評価で難しいと3と4の差はどのように判断しているか?(村山社長)
決められたことをしっかりやれるのが3で、イレギュラー対応ができるかが4、人に指導・教育することができるが5としている。項目は社長が決め、評定会議で決定している。
3)賃金に評価基準をどのように反映しているのか?(遠藤会長)
基礎評、勤続給、成長給と等級や号数ごとポイントが決められ賞与の原資を全社員ポイントで割り個人のポイント数にかけて算出している エントエントの評価基準を使用して評価しています。

 最後に遠藤会長より日頃普通に食べている野菜が皆様の努力の中で作られ、食べさせていただきていることが会社の内容も提示いただき、貴重なお時間を頂きました。自分たちの経営に活かして行きたいとして御礼挨拶を頂きました。また、みなさまから「本当に素晴らしい方をご紹介いただき、ありがとう」と、お言葉を頂戴しました。常に挑戦し続け、自分の信念を貫き、執念深くあきらめず、前進し続ける澤浦社長の姿そのものに、参加者一同勇気をいただくことができました。澤浦社長ありがとうございました!




■あかふ

  昼食は講演頂いた澤浦社長とご一緒に、グリンリーフ様かの近くにある美味しいと評判の蕎麦処「あかふ」で新そばの鴨そばを頂きました。
蕎麦に専念するため「うどん」をやめましたと、貼り紙がありました。実際に「うどん」があると、蕎麦に影響出るのかというと、それほどなさそうには感じます。しかし、顧客の感じる印象として「うどん」も提供していると、蕎麦もそれほどチカラはいっていないのかなと、なんとなく連想してしまうような気がします。絞り込むことは、とても難しいですが、大切なことかなと感じました。

長野のそばもおいしいがあかふさんのお蕎麦も美味しかったなぁ!

*今回の研修旅行を行うに、遠藤会長、村山社長にも色々と相談にのっていただき、アドバイスもたくさんいただきました。また、旅行の実施においてや、このレポートに関しても塚田事務局長に大変細やかなご支援をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

以上

令和3年11月 発行者:宇都宮 司

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