長野経済研究所の小澤吉則調査部長から「最近の経済情勢と消費増税を乗り越えて」という演題で講演いただきました。
アベノミクスの実施で景気が良くなったと言われており、日銀短観の推移や四半期毎の実質GDPは政権交代から良くなっています。ただ円ドルレートの推移や日経平均株価の推移を詳細に分析すると交代前の秋口から上昇に転じています。日本経済が自立的回復を迎えた時期に新政権が発足し、安倍内閣の経済政策が自立的回復を後押しする形になり、企業や消費者のマインドを改善させたと言えると思います。
長野県経済の情勢も低水準ながら全国同様に回復に転じていますが、4月の消費増税後は反動減で悪化した企業が多くなり、回復割合が頭打ちになっています。7割の企業が年内の回復を予想していますが、現状は恩恵を受けていない中小零細企業も多く、現状以上の円安がマイナスの影響を与えることも懸念されています。
政府は金融緩和、財政政策と成長戦略の3本の矢で回復するシナリオを描いていますが、行き過ぎた円安がマイナス影響を与える経済構造に変わっていることや、巨額の財政赤字が効果の大きい財政政策の実施を制限することが潜在リスクになっています。
バブル崩壊以降、日本経済は成長を止めています。ポイントは2つあり、一つ目は冷戦終結後、新興国が工業化し、工業の豊作貧乏が始まってしまいました。大量生産販売の新興国と別土俵になる高品質なニッチ分野を開拓する必要があります。二つ目は国内市場の4割がシニア層になってしまった高齢化と人口減少に対応する産業構造の変化が遅れていることです。政府が規制を緩和し、高齢者の求める商品やサービスを企業が開拓することがデフレ脱却に寄与することになります。シニア層をファンにしましょう。
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