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サービスとホスピタリティの違いについて例を挙げて説明しますと、本日のような講演会では講師席に水が用意されていますが、講師があらかじめついでおいてくれと依頼した時に準備しておくのがサービスです。これは100%誰でも出来ることです。講師との対話を通じて、水をどのような状態で準備するか提案するのがホスピタリティで、100人に一人しか出来ません。サービスも大切で、サービスを徹底するとサービスが洗練されますが、ホスピタリティは生まれません。100人のニーズやウォンツは100様ですのでそれを聞き出し個別に対応することが大切なのですがなかなか出来ません。 私は昭和28年戸隠に生まれました。3世代世帯が普通でしたので年寄りにタバコを持ってきてくれと頼まれることがありました。タバコだけ持っていくと灰皿とマッチはどうしたと言われ、次の機会には用意すると褒められ自然に考える基準が出来ました。バスで席を譲ることも大人が当たり前にやるので今のように標語にしなくても基準が子供の中に出来ました。一歩相手に近づく感性が出来るのです。 今でも同じような場所が日本にあります。人口600人ほどの北大東島は低所得で店もありません。中学を卒業すると島外へ出ることになりますが、中学の卒業式に出席させてもらい感動しました。生活に不便なところですが、人とのつながりが強く、感性豊かな子供たちが育っています。アメリカで勉強した時に子供をダメにする良い方法ということを聞きましたが、一つ目は欲しい物を与える、二つ目はカギの掛かる子供部屋を与えるということでした。世の中便利になっても大切なものを失わないようにしなければいけません。 リッツカールトンが日本に進出した時、大切にした戦略は、相手が入ってこないようにして戦わない場を作ることでした。日本の老舗ホテルがおもてなしを大切にした戦略をとることが怖かったので、グローバルスタンダードということを広報して老舗の戦略がブレルことを意図しました。同時にリッツカールトンではもてなしを大切にし、お客様とのご縁に感謝し、お客様との関係性を大切にし、自分の人生を素晴らしいものにすることを掲げました。もてなすとはお客様に一歩近づきお客様の求めているものを探ることから始まります。たとえば旅行代理店にはお客様は物語を買いに来るのですが、ホテルを素材と呼び、パンフレットを商品としか見ない旅行代理店もあります。この差に気づくところと気づかないところでは業績に大きな差が出来ます。 サービスは提供する側が決める約束事であり、約束を守らないとダメになります。ホスピタリティとはこのサービスを超える瞬間のことで、相手の気持ちを感じる能力が重要になります。相手の気持ちを感じる能力は、家族を見るアンテナと同じなので、日常を大切に毎日の生活の中でトレーニングしていきます。身近な人に一声かけることが一番のトレーニングになります。たとえば食事に時に美味しいねの一言を必ず使うようにし、この美味しいねから会話が進むようにすると、3ヶ月で自分が変わりだしますし、10年続けても相手に喜ばれます。飲み物を飲むときは必ずグラスを使うことも徹底しましたが、テーブルのコップや水によく気がつくようになりました。帰ったら靴や服をきちんとしまうことを癖付けすると振る舞いが変わってきます。こうしたトレーニングを積み重ねることにより自分の感性を磨き、感性のエンジンを大きくすることが出来ます。 こうしたトレーニング方法や考える素材を与えることが上司の仕事ですが、考え方そのもののトレーニングも行います。たとえばウサギとカメの競争の話から、必ずカメが勝つレース方法を話し合ったり、桃太郎の話からなぜ桃を拾ったかを考えたりします。自由な発想が大切で、毎日考えることにより、気づきの能力がつき、感性を磨くことが出来ます。 ホスピタリティを発揮して行う行為・行動そのものはほとんどの人が出来ることであり、人によりできる・できないことの差は小さいことなのです。こうして欲しいと指示があればできることがほとんどです。ただ状況に応じてタイミングよくお客様のして欲しいことをすることができる・できないの差はものすごく大きな差になってしまいます。1%の人、1%の企業にしかできないことがこれから重要になります。最初にお話したように今日本でパラダイムシフトが起きていますので、サービスを超えるホスピタリティが重要になってきているわけです。パラダイムシフトに気がついている企業、ホスピタリティの大切さを理解している企業がこれからの時代の企業だと思います。 (文責/関 隆之) |
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