地域商業文化を創造する会 
2023年 高知・徳島 研修旅行のご報告
〜 伝統と革新をめぐる旅 〜


令和5年11月 発行者:西原 弘樹

「ベク杯」なるものをご存知でしょうか?高知のお酒好きな方のお座敷遊びが伝統文化として存在しているようです。詳細は後ほど紹介すると致しまして、本年度の研修旅行は2泊3日の行程で「高知・徳島の伝統と革新をめぐる旅」を実施いたしました。
無事予定通り実施できましたこと心より感謝申し上げます。

■旅程

◆◆◆11月8日(水)◆◆◆

■ 桂浜

「坂本龍馬」が郷里の土佐の中で最も愛した場所とされ、高さ5.3mの龍馬の銅像が海を見つめていました。この時期限定で龍馬像の横に特別展望台が設置されており、龍馬と同じ目線で太平洋を望むことができました。

■坂本龍馬記念館

 坂本龍馬はフィクションの影響で英雄のように捉えられますが、実際には薩長同盟や大政奉還の影の功労者です。決して主役として活躍したわけではありません。優れた思想と調整能力を持ち、有力な人々を結びつけて物事を成功に導いた人物でした。
 館内には多くの龍馬直筆の手紙や衣装などが展示され龍馬の生涯を詳しく知ることの出来る資料が展示されていました。

■高知歴史博物館

 土佐藩山内家伝来、高知ゆかりの約6万7千点におよぶ古文書や工芸品・古写真など国宝や重要文化財を収蔵・展示しており高知の歴史・文化を学べました。豪華絢爛な大名道具や土佐の幕末維新の歴史を紹介しています。展望ロビーからは紅葉に囲まれた高知城を望めます。
 博物館のそばには地元の人から観光客に人気のスポット「ひろめ市場」があります。多くの 店舗が軒を連ね、その場で購入した食べ物を通路におかれたテーブルで食べることが出来ます。鰹のたたきや鯨カツはとても美味しそうでした。時間が無くて我々は通過しただけでしたが・・・。

■高知城

 江戸時代に建てられた天守が現存している城の中で、天守と本丸御殿(懐徳館)の両方が完存しているのは高知城だけだそうです。戦国時代から江戸時代の初期にかけて、三英傑(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康)に仕えていた武将で、土佐藩の初代藩主山内一豊によって1611年(慶長16年)に完成した城です。廃城令や太平洋戦争などを免れて江戸時代の姿で現存していることから、とても貴重な城です。城を敵から守るための忍び返しや物見窓は高知城のみで現存しています。
 とても急な階段を登り辿り着く天守からの眺めは高知の街並みを東西南北見渡すことが出来ます。

■宿泊(土佐御苑)

 夕食時、仲居さんがべく杯(可杯)なるものを持ってきてくれました。高知では有名な盃で、自立できない盃のことです。飲み干さないとお酒が零れてしまうため注がれたお酒は飲み干さなくてはなりません。高知の料亭での宴会遊びとしてベロベロの神様の歌「ベロベロの神様は 正直な神様よ お酒 (おささ) の方へと おもむきゃれ エェ おもむきゃれ」
 そう歌いながら、こまが倒れるのを待ち、止まった方角にいる人が駒に描かれた盃で飲むというとてもシンプルなお遊びです。とても楽しいひと時を過ごし夜は更けていきました。お土産としても盃は販売されており、なぜか翌日の夕食時もその盃と歌声が響いておりました。

◆◆◆11月9日(木)◆◆◆

■牧野植物園

 牧野植物園は高知が生んだ日本植物分類学の父・牧野富太郎博士の業績を顕彰するため、逝去の翌年、1958年に開園。起伏を活かした約8haの土地には、博士ゆかりの野生植物や園芸植物など3,000種類以上が所狭しと管理され四季を彩っています。熱帯さながらの温室では、世界各地から集めた貴重な植物や色鮮やかな熱帯花木・果樹などを観ることができました。
 牧野博士が主人公のNHKの連続テレビ小説「らんまん」(博士の波乱万丈な生涯を描いたオリジナルストーリー)の放送が9月で終了したことを機に、企画展も始まり改めて、博士の魅力を知ることができました。ドラマを再現したセットや撮影で使われた顕微鏡なども展示されていました。
 牧野富太郎博士は、高知県高岡郡佐川町に生まれ幼少から植物に興味を持ち、独学で植物の
知識を身につけ94年の生涯において収集した標本は約40万枚といわれ、蔵書は約4万5千冊を数えます。新種など約1500種類以上の植物を命名し、中には苦労を掛けた妻・寿衛への長年の内助の功に感謝し讃えるために、新種の笹に「スエコザサ」と命名したそうです。

「家守りし妻の恵みやわが学び」
「世の中のあらん限りやスエコ笹」

 妻を愛してやまない博士の思いが俳句からも伝わってきます。

■ネッツトヨタ南国

 ネッツトヨタ南国(株)高知本店を視察しました。
 全国のトヨタ販売会社308社中、顧客満足度ナンバーワンを12年連続獲得、全国トヨタ販売店総合優勝14回連続受賞、他にも日本経営品質賞受賞、ホワイト企業大賞受賞など多くの賞を受賞されています。
 今回ネッツトヨタ南国 取締役相談役 / ビスタワークス研究所 顧問 横田 英毅氏から「社員が幸せな会社は業績が上がる」働きがいが顧客満足につながるという演題で講話をいただきました。
 社内には保育園も完備されており多くの女性が子育てをしながら明るく働いています。推奨しているのではないが社内結婚も多く、社員の子供25名中9名の両親が社員で、いずれその子供たちが入社してくることが楽しみだと笑顔で話されていたのが印象的でした。
 コーチングではある問題に直面した際、「対処」するのではなく問題を「解決」していくことが大切である。「対処」と「解決」の違いとして、「ある人に魚を一匹与えれば、その人は一日食える」(対処法)が「魚の取り方を教えれば、その人は一生を通して食える」(解決法)という例を挙げていただいた。時間はかかるが企業を強く大きくしていくにはこの考え方が必要です。結果だけを単純に追い求めるのではなくプロセスをしっかり指導していく事が肝要です。指導される方も謙虚さを失っては成長しない。失敗を認めそこから相手の成功事例を模倣しブラッシュアップすることで成長するのだ。



 「働きがいのある」会社とは職場の人間関係がよく、お客様に感謝され、努力が認められ、成長を実感できることです。経営者意識を全社員が持っているネッツトヨタ南国の組織は強いと感じました。車を求めにわざわざ県外からも多数のお客様が来店されるそうです。 ネッツトヨタ南国は更なる進化に向かい日々挑戦し続けていました。

 

◆◆◆11月10日(金)◆◆◆

■ハレルヤ

 1930年創業の老舗のお菓子メーカーで徳島県産の農産物を原材料に使用したお菓子の開発・製造を行っています。
 今回視察させていただいたハレルヤスィーツキッチンにはお土産コーナーやカフェも併設されており生憎の天気でしたが多くのお客様が来店されていました。
 全国的に知名度の高い「なると金時」をはじめ、地域のブランド果実「阿波やまもも」「木頭ゆず」「仕出原のはっさく」等、多彩な原材料が持つ特徴や良さを生かした商品開発に取り組まれていました。
 3代目社長市岡沙織氏よりご講演をいただきました。SDGsにも積極的に取り組まれ、女性社員の登用にも傾注されているそうです。1937年の誕生以来、阿波土産としてハレルヤの『金長まんじゅう』が特に有名で地元の小中学校生が社会科見学に来てお菓子作り体験や工場見学をしていました。

■大塚美術館



 大塚国際美術館は、古代から現代まで世界26カ国190余の美術館が所蔵する西洋名画約1000点を、陶板で原寸大に再現しています。鑑賞ルートは約4キロ!建物のほとんどが山の中にあり、入口から約40mのエスカレーターを昇った先の地下3階から鑑賞順路が始まります。時代の変遷が美術史的に理解できるように古代美術から現代美術まで順を追って鑑賞できるようになっています。
 先ず目に飛び込んでくるのはヴァティカンのシスティーナ礼拝堂。ミケランジェロが描いた天井画と正面壁画「最後の審判」を再現したシスティーナ・ホールは壮観で、2007年の開館10周年記念事業として再現されたそうです。
 すべて陶板複製画で、本物ではまず許されませんが顔を近づけて見たり、触って確かめたりすることができます。戦禍により絵が散逸してしまった名画も複製展示されています。
 陶板は耐久性が高いためモネの大睡蓮は屋外に展示されおり東西南北を取り囲み迫力がありました。
 アレクサンダーの描かれた壁画などの古代美術→聖堂や礼拝堂を再現した部屋などの中世美術→レオナルド・ダ・ヴィンチなどのルネッサンス→フェルメール、レンブラントなどのバロック→モネ、ゴッホ、ルノワール、ムンクなどの近代美術→ピカソ、シャガール、アンディー・ウーホルなどの現代美術と順路に沿って時代の流れを体感できます。1時間半という時間限定でしたので、速足でギリギリのペースです。
 いつかゆっくり本物を巡る旅に出かけたいと思いました。



 

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